この物語はシリーズでお届けしています。
▶ 第1章:出会い から読む
仕事を辞めて自由を手にしたはずなのに、彼がいない時間は空白のように感じられた。
依存と自立、そのあいだでもがいていた。
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自由と依存のあいだ

風俗を辞めた朝、カーテン越しの光がいつもより澄んで見えた。
通勤時間に追われる人々の足音を窓から聞きながら、私は自分がその流れから外れていることを実感する。
もう、あの世界には戻らない。
そう思うと胸が少し軽くなった。
けれど同時に、胸の奥に薄く漂う不安もあった。
この先、何を軸にして生きていくのか。
そして、仕事を辞めた今、私は彼に会う理由を自分で作らなければならない。
「自由」という言葉の裏に潜む、彼に依存してしまうかもしれない怖さ。
その両方が、私の中で揺れていた。
日常は、静かに続いていく
彼はもう「お客様」ではない。
LINEのやり取りは以前よりも自然で、仕事や天気の話もする。
それでも、会えば抱きしめ合い、別れ際には離れがたくなる。
どれだけ日常に溶けても、会うことをやめる理由が見つからない。

たとえ彼の生活に私の居場所がなくても・・・
私は今日も、彼の声を聞くためにスマホを開く。
それが「自由」であっても、「依存」であっても、もう関係なかった。
次回予告

「自由」を選んだはずなのに、彼のいない日々は考えられなかった。
私が守るべきものは、一体何なのだろう。
次回「守るべきもの」問いかけられる、心の選択。
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